SEOの外部対策と聞くと、多くの人は被リンク、つまり他のサイトからリンクを張ってもらうことを思い浮かべます。その理解は間違いではありません。しかし現在の外部対策は、リンクだけでは語れない広がりを持っています。
本記事では、まず外部対策とは何かを定義から整理し、被リンク以外に何が含まれるのかを全体像として示します。そのうえで、実際に何をやればいいのかを、優先順位を付けて解説します。
外部対策とは
外部対策とは、自分のWebサイトの外側からの評価を高める施策の総称です。中心となるのは被リンクですが、リンクを伴わない言及や、Web上の評判なども関係します。
対になる言葉が内部対策です。内部対策とは、titleタグの設定や表示速度の改善など、自分のサイトの内側で行う施策を指します。両者の分かれ目は、自分のサイトの内側か外側か、という場所の違いです。
この場所の違いは、施策の性質の違いにもつながります。内部対策は、サイトの編集権限さえあれば自分の手ですべて完結できます。
一方、外部対策は、リンクを張るかどうか、紹介するかどうかを決めるのが他者です。直接コントロールできない領域だと、よく説明されます。
ただし本記事では、この「コントロールできない」という通説に、一つ補足を加えたいと思います。他者の行動そのものは確かに制御できません。
しかし、他者が紹介しやすい条件を整えることは自分でできます。この視点は、記事の後半で具体的に扱います。
外部対策の全体像:4つの系統
外部対策に含まれるものを整理すると、大きく4つの系統に分けられます。
- 被リンク:他のサイトからのリンク
- サイテーション:リンクを伴わない言及
- ブランドと評判:指名検索や第三者からの評価
- 防御と管理:リンク状況の把握
このうち確実にランキングに影響すると言えるのは被リンクです。残りの系統は、影響の確度に濃淡があります。この確度の違いも含めて、順に見ていきます。
被リンク:外部対策の中核
被リンクとは、他のサイトから自分のサイトに張られたリンクのことです。Googleは創業時から、リンクを他者からの投票とみなすPageRankという考え方を検索の柱にしてきました。多くの信頼できるサイトからリンクされているページは、それだけ価値があると評価されやすくなります。
被リンクの獲得方法
被リンクの獲得方法は、性質で分けると4つあります。
- 自然獲得:紹介したくなる内容によって自然にリンクが集まる
- 営業型:プレスリリースや寄稿、取材対応など能動的な働きかけ
- 登録型:業界団体やポータルサイトなどへの掲載
- 購入と自作自演:金銭でリンクを買う、リンクのためのサイト網をつくる
このうち自然獲得を支えるのは、紹介したくなる中身をつくる取り組みです。
何が違反になるのか
このうち4つ目は、Googleのスパムポリシーに違反する行為です。ここで大切なのは、違反かどうかの線引きが、手法の種類ではなく目的で引かれている点です。
Google検索セントラルの公式ドキュメントでは、リンクスパムを次のように定義しています。「リンクスパムとは、検索ランキングを操作することを主な目的として、サイトへのリンクやサイトからのリンクを作成する行為です」。
違反例としては、リンクの売買のほか、過剰な相互リンクや、質の低いディレクトリへの登録などが挙げられています。
つまり、同じプレスリリースでも、情報発信として出すのは問題なく、リンク獲得だけを目的に乱発すれば違反側に入ります。行為の種類ではなく、順位操作が主目的かどうかが基準です。
さらに、このドキュメントには重要な補足があります。「Googleは、リンクの売買も、広告やスポンサー活動を目的として行われる限り、ウェブ上での通常の経済活動の一環だということを理解しています」と述べています。
そのうえで、rel=”nofollow”またはrel=”sponsored”という属性をリンクに設定していれば、ポリシー違反にはならないと明記されています。
nofollowやsponsoredは、「このリンクは順位の投票として数えないでほしい」と検索エンジンに伝えるための属性です。広告としてお金を払ってリンクを掲載してもらうこと自体は、この属性を付けている限り正当な経済活動です。順位操作の効果を放棄しているからです。
出典:Google検索セントラル『Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー』
なお、これらの属性の扱いは2019年に一度変わっています。それまでnofollowの付いたリンクは評価の対象から完全に除外されていました。
しかしGoogleは2019年9月の公式ブログで、nofollowと新設のsponsored、ugcの3属性を、命令ではなくヒントとして扱うと発表しました。原則として評価は渡らないものの、Googleが状況に応じて参考にする余地が残された形です。
実務上は、属性付きリンクからの評価は期待できない、と考えておけば十分です。
出典:Google検索セントラルブログ『Evolving “nofollow” – new ways to identify the nature of links』
サイテーション:リンクを伴わない言及
サイテーションとは、リンクを伴わずに、Web上で自社の名前が取り上げられることです。SNSの投稿で店名が話題になる、ニュースサイトで社名が紹介される、情報サイトに店舗情報が掲載される。いずれもリンクが張られていなくても、名前が文字として書かれていればサイテーションです。
被リンクが紙の投票だとすれば、サイテーションは街の評判に近いイメージです。
ここで大切なのは、サイテーションが順位に効くかどうかは、文脈によって確度が大きく違うことです。
MEO、つまりGoogleマップやローカル検索の文脈では、効くと言えます。
Googleビジネスプロフィールの公式ヘルプは、ローカル検索の順位を決める要素の一つである知名度について、Web上のリンクや記事、店舗一覧などの情報を判断材料にすると説明しています。リンク以外の記事や店舗一覧が明記されている点が、サイテーションの裏付けです。
出典:Googleビジネスプロフィールヘルプ『Googleのローカル検索結果のランキングを改善するヒント』
一方、通常のWeb検索のSEOでは、リンクなしの言及がランキング要素かどうかをGoogleは公式に認めていません。業界には「言及も効いているはずだ」という見方が根強くありますが、確立した事実ではなく推測の段階です。
なぜ推測が消えないかというと、相関があるからです。言及が多い事業者は指名検索も増え、被リンクも自然に増えます。結果として順位も良い。
ただしこれは、言及そのものが効いた証拠にはなりません。効くと確認されている被リンクへの入口として機能している、と考える方が実態に合います。
ブランドと評判:Googleは外部の声を見ている
サイテーションと地続きの話として、Web上の評判があります。ここには公式な裏付けのある話が一つあります。
Googleは、検索品質評価ガイドラインという文書を公開しています。これは、Googleが世界中に抱える1万人規模の品質評価者に配られる業務マニュアルで、検索結果の品質を人間の目で採点する際の基準が書かれています。
このガイドラインには、サイトの品質を評価する際、そのサイトが自分について言っていることを鵜呑みにせず、外部の情報源で評判を調べる手順が含まれています。レビューサイトの評価、ニュース記事、第三者の言及などを検索して確認するよう、評価者に指示しているのです。
自社サイトでどれだけ立派なことを書いていても、外部の評判と食い違っていれば、外部の声が優先されます。
出典:Google『Search Quality Evaluator Guidelines』(英語のPDF)
注意点として、評価者の採点が個々のサイトの順位を直接動かすわけではありません。採点結果は、検索アルゴリズムを改善するための参考データとして使われます。それでも、Googleが外部からの評判をサイト品質の重要な判断材料と位置づけていることは、この文書から読み取れる確かな事実です。
指名検索、つまり社名やサービス名で検索される回数についても触れておきます。指名検索の増加がランキング要素かどうかは確認されていません。
しかし、認知が広まれば、サイトを訪れる人や紹介する人が増え、自然な被リンクにつながります。順位に直接効くかは不明でも、確実に効く要素への入口にはなる。この構造は、サイテーションと同じです。
なぜ外部対策は広がったのか:リンクの数から言及の質へ
ここまで見てきた4つの系統は、最初からすべて存在したわけではありません。歴史をたどると、増築の跡が見えてきます。
2000年前後にPageRankが台頭した当初、外部対策とは被リンクのことでした。ところがリンクが順位を左右するとなれば、人工的につくる人が現れます。2000年代には、リンクの売買や自作自演が横行しました。
Googleは2005年のnofollow導入、2012年のペンギンアップデート(スパム的な被リンクを狙い撃ちした大型アルゴリズム更新)と、対抗策を重ねていきます。この経緯は、リンク戦争からGoogleの逆襲までの流れとして詳しく書きました。
その先でGoogleが向かったのが、リンクの数ではなく、言及の質と文脈を読む方向です。リンクが存在するという事実だけでは、賞賛の投票なのか、告発の言及なのか区別が付きません。
リンクの周辺の文脈、リンクのない言及、外部の評判。Googleはこれらを読み取る技術を発達させ、評価の材料を広げてきました。外部対策の範囲が広がったのは、その裏返しです。
この流れを一言でまとめると、検索の評価が、Webの外の実業に近づいた、と言えます。
リンクは技術で偽造できました。しかし、世の中の評判や指名検索は、事業の実体がなければ作れません。Googleが偽造しにくい信号を求めた結果、外部対策は、実業の評判づくりとほぼ重なる領域になったのです。
これは、規模の小さい事業者にとって悪い話ではありません。かつてのようにテクニックだけで順位をつくることは難しくなりましたが、裏を返せば、特定の分野や地域で実際に評判の良い事業者は、その実体がそのまま評価される時代になったということです。
実業で勝っているのにWebで見つけてもらえていない事業者にとっては、むしろ追い風です。
そう考えると、外部対策の本質はこう言い換えられます。外部対策とは、リンクを集めるテクニックではなく、実業の評判をWeb上に可視化することです。
実際に何をやればいいのか
では、具体的に何をすればいいのでしょうか。
先に正直にお伝えすると、外部対策には、内部対策のようなチェックリストがありません。内部対策は「HTTPSを確認する」「titleタグを見直す」と手順化できましたが、外部対策は他者の行動が絡むため、これをやれば必ずリンクが増える、という手順は存在しないのです。
それでも、取り組む順番はあります。確実なものから並べます。
第一歩:すでにある縁を可視化する
最初にやるべきは、新しい関係づくりではありません。すでに持っている縁のうち、Web上に現れていないものを洗い出すことです。
- 所属する業界団体や商工会議所の会員ページへの掲載
- 取引先やメーカーの導入事例、取扱店一覧への掲載依頼
- 地域のポータルサイトや自治体の事業者紹介への登録
- 保有資格の発行元サイトの有資格者一覧への掲載
いずれも、すでに関係がある相手への依頼なので断られにくく、関連性のある掲載なのでスパムポリシーの心配もありません。
ただし、一つ現実的な論点があります。取引実績や所属先は、すべて公開できるとは限りません。契約上の守秘義務があるケースもあれば、公開すること自体が競合への情報開示になるケースもあります。
どこまで出すかの線引きは、事業の中身を知っている本人にしかできません。出せる範囲で出す、という判断で十分です。
第二歩:紹介される素材を整える
次は、自分のサイト側の準備です。実績、事業の特徴、正確な会社情報、代表者のプロフィール。こうした情報がサイトに整理されていなければ、紹介したい人がいても正確に紹介できません。
これは施策の場所としては内部対策ですが、外部対策の土台でもあります。外部で言及が生まれるかどうかは他者次第でも、他者が紹介しやすい条件は自分で整えられる。内部と外部は、別々の施策ではなく、こうして循環しています。
第三歩:言及が生まれる活動を続ける
そのうえで、第三歩は言及が生まれる活動を続けることです。
- クチコミを書いてもらう動線づくり
- ニュース性のある動きがあったときのプレスリリース配信
- 業界メディアや地域メディアへの寄稿、取材対応
- セミナー登壇や地域イベントへの参加
これらは即効性のある施策ではなく、事業活動そのものです。だからこそ、実体のある事業者にしかできない外部対策でもあります。
なお、クチコミを謝礼や割引と引き換えに依頼することはポリシー違反です。この点はクチコミを集める仕組みづくりで詳しく扱いました。
やらないこと
逆に、やらないことも明確です。リンク購入の営業に乗らないこと、リンクのためだけの相互リンク集めをしないことです。
理由は明確です。順位操作を主目的としたリンク作りは、Googleが20年かけて対策してきた手法の系譜であり、いま手を出す合理性はありません。
防御と管理:守りの外部対策は把握するだけで十分
最後に、守りの話です。
自分のサイトにどこからリンクが張られているかは、Google Search Consoleのリンクレポートで無料で確認できます。外部対策の中で唯一、誰でも今日からできる作業です。
見て問題のあるリンク、たとえば身に覚えのない海外サイトからの大量リンクがあっても、基本的に対処は不要です。現在のGoogleは、スパム的なリンクをアルゴリズムで自動的に無効化する方針を取っており、張られた側が心配する必要はほぼありません。
リンクの否認という申告機能も存在しますが、出番があるのはGoogleから警告を受けたような例外的な場合に限られます。
むしろこのレポートは、攻めのヒント集として使えます。どんなサイトが自分を紹介してくれているかを眺めると、意外な場所で取り上げられていたことに気づいたり、次にどこへ働きかけるかの発想が得られたりします。
まとめ
本記事の要点を整理します。
- 外部対策とは、サイトの外側からの評価を高める施策の総称
- 中身は被リンク、サイテーション、評判、防御の4系統
- 違反の線引きは手法ではなく、順位操作が主目的かどうか
- 属性を付けた広告リンクは正当な経済活動
- サイテーションはMEOでは効く。Web検索では未確認
- Googleは外部の評判をサイト品質の判断材料としている
- 評価はリンクの数から言及の質へ、実業の評判へと移ってきた
- 外部対策の本質は、実業の評判をWeb上に可視化すること
- 最初の一歩は、すでにある縁の掲載を洗い出すこと
- 公開の線引きは自分で決める。出せる範囲で出せばよい
- スパムリンクは自動で無効化される。把握だけで十分
外部対策と聞くと、リンクを増やす特別なテクニックを想像するかもしれません。しかし実際にやることは、自分の事業がすでに持っている評判や縁を、Webの上に一つずつ載せていく地道な作業です。実体のある事業者にとって、これほど取り組みがいのある領域はありません。

