MEOに取り組もうと調べ始めると、やるべきことのリストがいくつも見つかります。
- 情報を充実させましょう
- 写真を載せましょう
- 投稿をしましょう
- 口コミを集めましょう
どれも間違いではなさそうですが、全部やるのは大変です。そして本当に全部必要なのか、どれから手をつければいいのかは、なかなか見えてきません。
実は、MEOの施策は大きく2つに分けると整理しやすくなります。
1つは、最初にきちんとやってしまえば基本的に終わりの「初期設定」。もう1つは、その後も続けていく「継続運用」です。
そして順位への影響が大きいとされる要素は、意外なことに初期設定の側に集中しているのです。
さらに言えば、世の中でMEOの施策としてよく紹介されているものの中には、順位への効果が確認されていないものも含まれています。限られた時間で取り組む以上、効くことに集中し、効かないことはやらない。その見極めも大切です。
この記事では、MEOの施策を初期設定と継続運用に分けて整理し、あわせて優先しなくてよいことまでを、根拠を示しながら解説していきます。MEOの仕組みと、自社に必要かどうかの判断は、別の記事で整理しています。
前提:順位はどう決まり、どこを目指すのか
施策の話に入る前に、前提を2つだけ押さえておきます。
1つ目は、順位の決まり方です。MEOで対策するのは、Googleマップと、Google検索の地図付きの枠(ローカルパックと呼ばれます)での表示順位です。どちらもGoogleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)に登録された情報をもとに表示されます。
順位を決める要素について、Googleは公式ヘルプで「ローカル検索結果は、主に関連性、距離、人気度に基づいて表示されます」と明示しています。
関連性は検索語句とプロフィール情報の合致度、距離は検索した人と店舗の物理的な近さです。知名度(人気度)はそのビジネスがどれだけ知られているかで、被リンクやクチコミの数、評価などから判断されます。
このうち距離は、施策でどうにかできるものではありません。つまり、事業者が動かせるのは関連性と知名度の2つです。これから紹介する施策は、すべてこのどちらか(または両方)に働きかけるものだと理解しておくと、個々の施策の意味が見えやすくなります。
2つ目は、目指す場所です。「渋谷 ラーメン」のような検索をすると、検索結果の上部に地図と店舗リストの枠が表示されますが、ここに載る店舗は基本的に3件だけです。多くのユーザーはこの3件か、そこから数件先までしか見ません。
したがってMEOの実務的なゴールは、自社の商圏のキーワードでこの3枠に入ることです。
出典:Googleビジネスプロフィールヘルプ『Googleのローカル検索結果のランキングを改善するヒント』
施策の全体像:初期設定と継続運用に分ける
MEOの施策は数が多く見えますが、性質で分けると2つしかありません。
1つ目は初期設定です。ビジネスの名称や住所、カテゴリ、営業時間、説明文といった情報の登録は、一度きちんとやってしまえば、事業内容が変わらない限り大きく手を入れる必要はありません。
2つ目は継続運用です。クチコミを集めて返信する、写真を追加する、営業時間の変更を反映する。こちらは終わりがなく、営業を続ける限り回していくものです。
この分け方が重要なのは、順位への影響が大きいとされる要素が、初期設定の側に集中しているからです。カテゴリの選択、基本情報の正確さと充実度。これらは後で詳しく見ますが、いずれも最初の設定で決まる部分です。
ここから導かれる実践的な結論は、こうです。まず初期設定を完璧にやりきること。派手さはありませんが、実際には初期設定を埋めきれていない店舗が少なくないため、ここを丁寧にやるだけで商圏内では差がつきます。
ただし、注意してほしいことがあります。初期設定が終わったら何もしなくていい、という話ではありません。
競合も初期設定を整えてくれば、その部分では差がつかなくなります。そこから先の差を生むのは、クチコミの蓄積をはじめとする継続運用です。
言い換えると、初期設定は競争に参加するための土台であり、継続運用が競争そのものです。どちらか一方ではなく、順番の問題として両方に取り組む。この全体像を持ったうえで、それぞれの中身を見ていきましょう。
初期設定でやること
初期設定でやるべきことを、順に見ていきます。数は多いですが、いずれも一度やってしまえば終わる作業です。
1. オーナー確認
まだであれば、最初にビジネスプロフィールのオーナー確認を済ませます。オーナー確認をしないと情報の編集や返信ができず、施策の入口に立てません。確認方法はビデオや電話など複数あり、ビジネスの種類によって案内が変わります。
2. ビジネス名
正式な店舗名・会社名を、看板や実際の表記どおりに登録します。
ここで1つ注意があります。「〇〇整体院 △△駅徒歩3分 腰痛専門」のように、名前にキーワードや地域名を足す手法を見かけますが、これはGoogleのガイドライン違反です。
実際のマップ上には違反状態の店舗も残っていますが、第三者から修正提案や報告ができる仕組みがあり、修正やプロフィール停止のリスクを抱えることになります。正式名称だけにしておきましょう。
3. 住所・地図ピン・電話番号・WebサイトURL
住所は正確に登録し、地図上のピンの位置も確認します。ビルの中の店舗や入口が分かりにくい立地では、ピンが実際の場所とずれていることがあります。初めて来るお客様が迷わない位置に調整してください。
訪問型のビジネスの場合は、サービス提供地域の設定も行います。
4. カテゴリ
初期設定の中で最も重要なのがカテゴリです。カテゴリは、その店が何の店かをGoogleに伝える最も直接的な情報であり、どの検索で表示されるかを左右します。海外のローカルSEO専門家への調査でも、順位に影響する要素の第1位に挙げられています。
選び方の原則は、できるだけ具体的なカテゴリを選ぶことです。管理画面で業種名を入力すると、Googleが用意したリストから候補が表示されます。飲食店ならレストランで済ませず、「ラーメン屋」「焼肉店」のように実態に合う最も具体的なものを選びます。
メインカテゴリ1つに加えて、追加カテゴリも設定できます。ただし、実際に提供しているサービスに限ること。公式ヘルプでも、カテゴリを単なるキーワードとして使わないよう明記されています。
出典:Googleビジネスプロフィールヘルプ『ビジネスプロフィールを編集する』
5. 営業時間
通常の営業時間を正確に登録します。祝日や年末年始などの特別営業時間は継続運用の話になりますが、通常時間の登録は初期設定です。「営業中と表示されていたのに閉まっていた」という体験は低評価クチコミの定番であり、情報の正確さはここが最前線です。
6. 属性
業種に応じて、次のような属性項目が用意されています。
- 駐車場の有無
- Wi-Fi
- バリアフリー対応
- 決済方法
- テイクアウト対応
地味な項目ですが、「近くの駐車場があるラーメン屋」のような条件を含む検索の判断材料になります。該当するものはすべて設定しましょう。
7. 説明文
ビジネスの説明文を750文字まで登録できます。何のお店で、誰に向けて、何を提供しているのか。初めて見る人に伝わる文章を書いてください。
検索キーワードを詰め込む必要はありません。この点は後ほど改めて触れます。
8. サービス・商品・メニュー
提供しているサービスや商品、メニューと料金を登録します。ここも関連性の材料になると同時に、来店を迷っている人の判断材料になります。
9. 基本の写真
外観、内観、代表的な商品やサービスの写真を一通り登録します。特に外観写真は、初めて来る人が店を見つけられるかどうかに直結します。
10. Webサイト側の表記統一
プロフィール外の作業ですが、自社サイトやSNS、ポータルサイトでの店名・住所・電話番号の表記を統一しておきます。NAP(Name、Address、Phone)の一貫性と呼ばれる考え方で、表記がバラバラだと、Googleが同一のビジネスだと認識しづらくなるとされています。
継続運用でやること
初期設定が済んだら、次は回し続ける施策です。数は多くありませんが、こちらが競争の本体です。
1. クチコミを集める仕組みと返信
継続運用の中心はクチコミです。Googleは公式ヘルプで「クチコミ数が多く評価の高いビジネスは、ランキングが高くなります」と明言しています。順位への影響が公式に認められている、数少ない要素です。
大切なのは、一度にたくさん集めることではなく、集まり続ける状態をつくることです。会計時にひと声かける、クチコミページへのQRコードを置くなど、日々の営業の中に依頼の動線を組み込みます。ただし、割引や特典と引き換えの依頼はGoogleのポリシー違反なので、あくまでお願いにとどめてください。
来たクチコミには返信します。低評価にこそ冷静で誠実な返信を。返信は書いた本人だけでなく、これから来店を検討するすべての人に読まれます。
2. 情報の鮮度を保つ
祝日や年末年始、臨時休業などの特別営業時間を、その都度反映します。メニューや料金、提供サービスが変わったときも同様です。初期設定でつくった正確さを、時間の経過で劣化させないための作業です。
3. 写真を追加する
新しいメニュー、季節の様子、店内の変化などを折に触れて追加します。写真の充実はプロフィールを見た人の行動に影響します。
4. 数字を確認する
ビジネスプロフィールには、表示回数や検索されたキーワード、電話・経路検索・サイトクリックの数を確認できるパフォーマンス機能があります。月に一度でも眺める習慣をつけると、施策の手応えが数字で見えるようになります。
優先しなくていいこと
ここまで「やること」を見てきましたが、この記事ではもう一歩踏み込んで、優先しなくていいことにも触れておきます。MEOの施策としてよく紹介されるものの中には、順位への効果が疑わしいと分かってきたものがあるからです。
1. 順位のための定期投稿
ビジネスプロフィールには、お知らせやイベントを発信できる投稿機能があります。
「順位のために毎日投稿しましょう」と勧められることの多い機能ですが、順位への直接効果は疑わしいことが分かってきています。海外のMEO専門会社が441のキーワードを9週間追跡した検証では、投稿による順位の変動は確認されませんでした。
誤解しないでいただきたいのは、投稿が無意味だという話ではないことです。投稿はプロフィールを見た人に営業中の活気を伝え、クリックを増やす効果は認められています。新メニューやキャンペーンの告知として使う価値は十分あります。
あくまで「順位を上げる手段」として義務的に続けるものではない、という話です。
2. 写真への位置情報の埋め込み
写真データに撮影場所の位置情報(ジオタグ)を埋め込むと順位に効く、という手法が紹介されることがあります。
しかしGoogleは、アップロードされた写真からEXIFと呼ばれるメタデータを削除しており、位置情報は残りません。海外の複数拠点での検証でも、順位への影響は確認されていません。手間をかける意味のない作業です。
3. 説明文へのキーワード詰め込み
説明文に検索キーワードを詰め込む手法も見かけますが、Googleは説明文をランキングに使用していないことを明らかにしています。説明文は検索エンジンのためではなく、お客様のために書くものです。
キーワードを詰め込んでも順位は上がらず、読みにくい文章で来店を検討している人を逃すだけです。何のお店で、何が提供できるのかが素直に伝わる文章を書いてください。
見分け方の目安
この3つに共通するのは、作業として発生させやすいことです。毎日の投稿、写真の加工、キーワードを入れた文章作成。時間はかかりますが、順位への効果は確認されていません。
限られた時間は、カテゴリと基本情報の正確さ、そしてクチコミが集まり続ける仕組みに使ってください。順位に効くとわかっていることに集中するのが、遠回りに見えて一番の近道です。
順位のためだけに施策をしない
最後に、少し視点を引いた話をします。
ここまで、順位に効くこと・効かないことという軸で施策を整理してきました。ただし、順位に効かないから手を抜いていい、とはならない項目があります。説明文と写真がその代表です。
考えてみてください。ローカルパックの3枠に入ることはゴールではありません。
表示された後、ユーザーはプロフィールを開き、写真を眺め、クチコミを読み、説明文を見て、行くかどうかを決めます。説明文が空欄で、写真が数枚しかなければ、せっかく表示されても選ばれません。
つまり施策には2つの役割があります。順位を上げて見つけてもらうことと、見つけてもらった後に選ばれること。説明文や写真は前者には効かなくても、後者のためには欠かせません。
MEOの目的は順位ではなく集客です。順位は結果であって、目的ではありません。
まとめ
本記事では、MEOの施策を整理してきました。要点を振り返ります。
- 施策は初期設定と継続運用の2つに分けて考える
- 順位に影響の大きい要素は初期設定に集中している。まず初期設定をやりきるだけで差がつく
- 初期設定で特に重要なのはカテゴリ。できるだけ具体的なものを選ぶ
- 継続運用の中心はクチコミ。集まり続ける動線を作り、返信する
- 順位のための定期投稿、写真への位置情報、キーワードの詰め込みは優先しなくてよい
- 説明文や写真は順位のためでなく、表示された後に選ばれるために整える
やることは多く見えたかもしれませんが、初期設定は一度きりの作業です。まずはご自身のビジネスプロフィールを開いて、埋まっていない項目がないかを確認するところから始めてみてください。地図の枠だけでなくWebの検索結果からも集めたいなら、SEOの基本もあわせて押さえておきましょう。

